2009年06月02日

Little Wonder

ひねもすルーヴル美術館で過ごしたり、出来の悪いオペラ座に途中退席したりとの贅沢を味わって来た故、お許しを請いたい。
豊かな自然に美味しい食、そして友人も多い鹿児島だが、芸術的枯渇に苛まれること度々である。
かといって晦渋な小説を読解する気力や、鬼才の映画に長時間割く余裕のない夜、滋養豊富で濃厚ながら消化の良い芸術として重宝しているのがDavid Bowieのプロモーション・ビデオだ。

これなどいかがだろう?




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2009年06月07日

焼き肉の法悦

東京に住む弟が帰省したので、美味いものを食べさせたいと出かけたのが、鹿児島市の南林寺という町にある焼き肉の『いなばや』である。

黒豚や地鶏で有名な鹿児島は、肉用牛の飼育頭数も北海道に次ぐ2位であり、食肉の歴史も古い。それ故、鹿児島の人間にはおいしい牛肉は身近な存在だ。
東京でまともな牛肉を食べたければ少なくとも3万は必要だが、鹿児島なら5千円もあれば、最高の肉を腹一杯味わうことが出来る。夏野菜もおいしい季節だし、やはり鹿児島は食の都だ。

この日、注文したのは、『黒毛和牛特選カルビ』『黒毛和牛特選ロース』『黒毛和牛特選ヒレステーキ』『黒毛和牛特選サーロインステーキ』『特選牛ハラミ』『ねぎ塩サーロイン』『やみつき牛ホルモン脂たっぷり(小腸)』が、一皿に盛られた『いなばや最強盛』に、『牛ほっぺ』、キャベツやとうもろこしが甘い『野菜盛り』、そして『キムチ』という、我ながらバランスの取れた品々である。

強火で表面をかりっと炙り、中はレアのまま、鮨に醤油をつける程度のポン酢でいただくのが私流。
脂の甘みが舌で融ける。しかし、しつこくない。
東京では出会えない味に、つい「旨い」と声にする七つ違いの弟。
気温が上がってきたので、生ビールも進む。
ああ、食の快楽に流されストイックさの欠片もない。こんな生活していたら堕落する。

蛍光灯の下、焼き肉網から時折炎が上がり、次々と肉が焼ける。壁にはビールのポスターのキャンペーンガールの笑顔。

口中に広がる幸福感に酔いしれ、堕落すると思いながらも箸は止まらない。
焼き肉の醍醐味を味わったのは、弟との久し振りの夕餉である。

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2009年06月09日

梅雨はじまりぬ

鹿児島地方気象台は、九州南部が梅雨入りしたと見られると発表した。空が重い。
その昔、井伏鱒二の『山椒魚』を読んだのもこんな季節だった。

http://www.exblog.jp/blog_logo.asp?slt=1&imgsrc=200906/09/03/d0130303_15563618.jpg#
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軍事大国…1

まず、下記リンクのAFPBBによる世界の軍事費についてのニュースを参照いただきたい。
http://www.afpbb.com/article/politics/2609994/4247397

中国の軍拡振りは、隣国日本には、また世界的にも脅威である。
しかし、GDPでは中国に抜かれ世界第5位に落ちたフランスが、軍事費では未だに3位と頑張っている(?)のは、この国を知る上で興味深い。

071407.jpgQuatorze Juilletとは7月14日のことで、日本ではパリ祭で知られるフランス革命に由来するこの日、パリではシャンゼリゼを中心に軍事パレードが行われる。





071404.jpg陸軍、海軍、空軍、歩兵部隊、親衛隊、海外部隊、警察や消防を挟んで、外人部隊と、延々と続く兵隊の行進をフランス人たちは温かい拍手で迎える。
フランスの軍人は市民に愛されているのだ。





071402.jpg国民のための国家は国民自身が守らなければならないとするフランスは、1990年代半ばまで徴兵制度が残っていたし、日本とは国防の概念が大きく異なるが、どちらが普通の国だろうか。
軍事パレードは、平和ボケした日本人には悪趣味に見えることだろう。


2006年8月のパリでの記事はこちら。
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2009年06月10日

軍事大国…2

写真のみの更新です。
下記、いずれかへ移動してご覧下さい。
お手数ですが宜しくお願いします。
http://ameblo.jp/site-tate-tale/entry-10277651325.html
http://sitetate.exblog.jp/9841083/
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Miracle Goodnight

梅雨入りし本格的な雨となった鹿児島の昼下がり、雨水に打たれる庭木に目をやると、水を含んで翠緑の濃淡が鮮やかである。
捗らぬ仕事に、つい遊んでしまうのがYouTubeで、今日はこんなのを眺めてしまった。
David Bowieが今の私と同年代の頃の作品、実にドラマチーキである。


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2009年06月13日

昼下がり

黒煙が空を濁らせていた。
鹿児島県本土南端の指宿市から自宅のある鹿児島市へ、国道226号線を北上していたところ、鹿児島湾を臨む穏やかな海岸辺りの瀬々串というJRの駅の近くでバスは突然停止した。

サイレンけたたましく救急車が追い越してゆく。
「火事のため渋滞しています」
10人に満たない乗客だったが、運転手のアナウンスがあると、後ろを振り返り車列を確認したり、JRへ乗り換え出来ないか模索したり、それぞれの反応があった。
一様に時が止まったように感じていたことだろう。
クーラーが弱まり、車内も暑くなる。
少しずつ移動していたバスは20分ほどで火災現場へ辿り着く。
現場は国道沿いの民家だ。すでに鎮火し、白煙を上げる黒々と炭化した柱や梁の間で立ち働く消防士たちの表情に安堵の色も見える。

鹿児島市営動物園がある平川という町の手前で渋滞は途切れる。
バスは急いだ。

http://sitetate.exblog.jp/9854444/
http://ameblo.jp/site-tate-tale/entry-10279584177.html
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2009年06月16日

Il paraît plus jeune que son âge.(若く見える)

19世紀末のパリで銀行家として活躍したエドゥワール・アンドレと妻のネリ・ジャックマールが蒐集した美術品が展示されているのは、彼等の館をそのまま美術館とする『ジャックマール・アンドレ美術館(Musée Jacquemart-André)』で、凱旋門から西に、つまりオスマン通りを10分程歩いたところにある。

ここは常設展以外の現代美術の企画展もユニークで、また私には長いオスマン通りを『ギャラリー・ラファイエット(Galeries Lafayette)』などのデパートへ向かう途中の憩いの場でもあった。

そのジャックマール・アンドレ美術館のカフェで撮った3年前の写真の私は、無精髭を蓄えているが、これはパリ仕様であり、日本でかような姿をお見せすることはまずない。

夏の日焼けの影響もありフランス人の老化は特に早い。私と同世代なら、男女とも私より一回りは年長に見える。
それ故か、日本では褒め言葉である『若く見える』ということに、パリでは『子供に見える』という別の解釈が加わることを知り、かような髭面になった次第である。
メジャーリーガーのイチロー選手が渡米に際し、髭を伸ばしたのと同じ理屈だ。

かの地では日本女性は特に若く見える。
美術館等、学生だと自己申告すれば学生料金で入場出来ることもままあるよ、マドモアゼル。

http://ameblo.jp/site-tate-tale/entry-10281508555.html
http://sitetate.exblog.jp/9867273/
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2009年06月17日

インターネット放送にて…1



同級生のくんくんさんは、昨年まで『ゆくさ』というインターネットラジオを主宰していた。
私もパリから戻った直後の2006年秋から、時々出演していたのだが、2007年末の出演分が動画として残っていたのでご披露したい。
10分程の番組で、年末なので、話題はヨーロッパのクリスマスについてである。
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2009年06月18日

蜘蛛の巣

もう、20年以上も前になる。浅丘ルリ子さん主演で蜷川幸雄さん演出の『にごり江』が私の初舞台だった。寒い1月の日生劇場での公演で、日比谷公園が雪で覆われ、雲の上にいるかのようだった楽屋からの景色をよく記憶している。
劇場は黴臭く、照明に照らされた舞台から見渡すと、お客さんのシルエットの蠢く客席は夜の港のようであった。

劇場で成人の日を迎えた私にハンカチをプレゼント下さったのは、浅丘ルリ子さんである。以来、浅丘ルリ子さんは特別な女優さんだ。

アガサ・クリスティーの推理劇を舞台化した『蜘蛛の巣』の鹿児島公演が行われたのは昨夜のこと。
http://www.tohostage.com/kumonosu.html
鹿児島の演劇ファン、そして主演の浅丘ルリ子さんのファンが宝山ホール(鹿児島県文化センター)に集まった。

セットはイギリス風の豪華な館の一室を模している。重厚な書棚やきらびやかなシャンデリアが観客を現実の世界から引きはがす。
アガサ・クリスティーらしい、軽妙なやり取りで殺人事件は解きほぐされてゆく。
聴覚を刺激する劇中曲や、視覚的効果を狙った演出は少ない。それでも、約2時間の物語を飽きさせないのは、テレビでお馴染みの俳優たちの確かな演技の賜である。

結局、犯人は・・・
まだ、大阪と金沢の公演が残っているので、顛末を詳らかにするわけにはいかない。

小難しい顔をせずともいただける美味しいビストロのフランス料理のように、楽しく満腹になる秀作に満足げな客に紛れ会場を後にした。
演劇の余韻を味わったのはビストロならぬ、いつもの居酒屋である。焼酎のお湯割りが喉に染みる。
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2009年06月19日

指宿を歩けば

旬の紫陽花や、季節を先取りした向日葵、そしてハイビスカスが咲き乱れるのは、指宿が南国だからである。
午後になり、一時垂れ込めた雲も直に快復した。
小鳥のさえずりや、時折響く牛舎の牛の鳴き声を背に、農道を奥へ奥へ。
すると、名もなき花園があった。
もっと奥へ分け入ると、やがて海へ到達するのである。

http://www.exblog.jp/blog_logo.asp?slt=1&imgsrc=200906/19/03/d0130303_17352214.jpg#
http://www.exblog.jp/blog_logo.asp?slt=1&imgsrc=200906/19/03/d0130303_18202556.jpg#
http://www.exblog.jp/blog_logo.asp?slt=1&imgsrc=200906/19/03/d0130303_1821299.jpg#
http://www.exblog.jp/blog_logo.asp?slt=1&imgsrc=200906/19/03/d0130303_18215090.jpg#
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2009年06月21日

長い一日

花咲き誇る広場は明るさを取り戻し、爽やかな風に燕が乗る。白黒コントラスト鮮やかなカササギが出窓を訪ね、街路樹のマロニエは喜ぶ子供のように一斉に青葉を伸ばす。パリを訪れるなら6月だ。

それも、音楽の日であったり、同性愛者のパレードがあったり、裏通りが蚤の市になったり、植民地を勝ち得た戦勝記念日だったりで街はお祭り騒ぎ、まさに不夜城と化す夏至の日なら尚更である。
緯度の高いパリでは、白夜に似た現象とサマータイム効果で、夜の帳が降りるのは11時頃だ。
旅人の一日は長い方が良い。

http://ameblo.jp/site-tate-tale/entry-10284898322.html
http://sitetate.exblog.jp/9887848/
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2009年06月23日

Menuet Antique(古風なメヌエット)



午前2時半。
就寝前には激しく窓を叩いていた雨もいつの間にかやんでいる。
かような時間に目覚めることもままあるものだ。
読みかけの小説を捲る気にはならず、家蜘蛛のように、夜の静寂にぽつ然と息をひそめるのも退屈で、意味もなく顔を撫でまわしながら聞いているのはラヴェルの『Le Menuet antique(古風なメヌエット)』である。
中世の騎士の厳冬の騎行を思わせる叙情的メロディーに、さらに目が冴えた次第。
元来はピアノ曲だが、今宵、私が耳にしているのはラヴェル自身が編曲したオーケストラ版である。
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2009年06月24日

インターネット放送にて…2



動画は2008年1月に放送したもので、フランスの正月についてお話しいている。
先週ご紹介した2007年末の放送もそうだったが、この日も主宰のくんくんさんと衣装がかぶっているな。
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2009年06月27日

2009年06月28日

遠雷

無意識に心の澱みが撹拌されるのが夢であろう。舞い上がる上澄みにキラキラ輝くのは、功名心や虚栄心に緊張感の混合する俳優時代の記憶である。
演出家に転じて15年にもなるというのに、未だに舞台に上がる夢を見る。
それも、台詞はおろか、何という芝居の何役かも不明のまま、鎧やら羽根やらの大仰な衣装を着せられ、煌煌と照らされた舞台に仁王立ちしている夢である。

帝国劇場かバスチーユのオペラ座か。どうやら大劇場でのシェークスピアか時代劇らしく、城壁やギリシャ式円柱などの重厚なセットに囲まれている。客席が満員なのはそのざわめきでわかる。
スポットライトの眩しさに瞳孔がきゅっと閉じ、舞台中央で口を開こうとし、立ち往生するところで夢は途切れ、目覚めると安堵の溜め息を漏らすのが常だ。

しかし、激しい雷雨に見舞われた今朝のそれは、一つの真理を示唆するさらに踏み込んだものであった。
いつもの夢のように舞台袖で出番を待っていると、小太りでまぶたの重い、いかにも劇団の演出部にいそうな若い男性スタッフが涼しい顔で言い放つ。
「出番はもうありません」
メイクを施し衣装に着替え、役のために労を厭わず、まさに舞台に躍り出んというところで、出ずともよいとは何たる非礼。しかも、最終判決の如き"もう"と修辞された憎々しい宣いよう。
例によって、何の芝居の何の役だかもわからぬのに憤怒する私。
「プロデューサーを呼んで来なさい」
困惑顔の男に、怒りを押し殺し、そう伝えたところで、はっとして目覚める。

雨垂れが屋根を不規則に打っている。一瞬の閃光の後、遠雷が轟く。薄明かりの中、枕を裏返し、天井の板の目の幾何学模様を目で追うのは夢を反芻しているからである。

台詞などアドリブで繕うか、でなければ無言を貫くことで凌げるもので、かような焦燥など役があってこその贅沢なトラブルだ。
それに比し、出番がない、即ちあなたは不要であるとの、屈辱にまみれた救い難い宣告の、いかに残酷なことか。
払暁の夢は本当に怖いのは過ちではなく、期待されぬことであるとの私の意志をあぶり出したものであろう。

朝の空腹を感じぬまま洗面へ起き出る。雨脚はますます強まり、おそらく雷は海に落ちた。
posted by テイト at 23:20| Comment(0) | カテゴリ無し | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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