2009年07月18日

騙す人々

25年程前に知り合ったある男は、普段から言葉巧みだった。
結局、持ってもいない歌手の尾崎豊さんの遺品を高額で売りつけたとして詐欺で逮捕され、数年前に実刑判決を受けたはずだが、彼の小柄で丸々した人の良さそうな体躯は、相手を信用させるに一役買ったことだろう。

そして、今思えば同じ穴の狢だった。出資者から映画制作の資金を募り、それを持ち逃げした男は、前出の詐欺で逮捕された男と親しかった。
こちらは幾分大柄だったが、やはり太っており、その丸顔は人を騙すようには見えなかった。実は私も出資者の一人である。

一晩で1億動かしただの、あの政治家もこの芸能人も親友だのと、口を開けば嘘が飛び出す男もいた。彼ももう還暦だろうか。眉が薄く、頻繁にたばこを吸うやせ形の男で、しかし、彼は見栄っ張りなだけで実害はなかった。

同情を買うことが心地よかったのだろう。ニューヨークで事故に遭い、亡くなった恋人のことが忘れられないという作り話で、悲劇のヒロインになり切っている女もいた。だが、酔った時の彼女の口癖は、それと矛盾する「人間、そう簡単には死なない」であり、嘘を重ねる間に最初の嘘を忘れてしまう自滅型噓つきの典型で、可愛げもないではなかった。

あまりの馬鹿馬鹿しさに、公言を憚ってきたが、昨年、鹿児島話し方研究会なる集まりで朗読の講師を勤めた際、約束の金額より少ない謝礼が、現金ではなく商品券で支払われるという詐欺にあった。
会の代表だという高齢の女性に騙されたのであるが、会には規定の講師料を支払ったことにして、差額を懐に入れたのであろう。契約書のみならず、あらゆる書類を残さぬ手口で、以前も同様のトラブルがあったとのことから、常習犯のようである。
鹿児島にも、左様な人間がいるのかと残念に思う。

鹿児島の老婆を除き、上記の人を騙すことに吝かでない人たちには、共通の癖があった。爪を噛むことである。爪噛みは、幼少期に親の愛情を充分に受けられなかった人に見られる癖だと聞く。

そう言えば、寂しかったのだろうか。確かに皆、人懐こかった。


posted by テイト at 17:42| Comment(0) | カテゴリ無し | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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